ヒミツにふれて、ふれさせて。



「いいじゃなーい!最高だわ♡パンケーキ、しばらく食べてないの〜!」


両手を頰に当てて、顔を横にぶんぶんと振りながら喜んでいる。…ほんとに、女子みたい。ていうか、女子でもなかなかそんな動きはしないよ。


「…生クリームとか、たくさんのってるけど食べられる?」

「全然余裕よ〜!むしろ大好きなの……くしゅっ!!」



あまりにも興奮したのか、ヒュウっと北風が吹いた瞬間に、珠理は身体を震わせて思いっきり縦に跳ねた。

ぶるりと動く大きな身体。ブレザーの上から、腕をおさえている。


「…さわがしい人だな」


…人にカーディガンをかけている場合じゃないでしょうに。やっぱり寒かったんじゃない、まったく、この心配性は。


「えへへ…、ごめん」

「…」



もう一度、ふるっと身体をふるわせふ珠理に、借りていたカーディガンをかけ直してあげた。

もう昼休みも終わるし、教室に帰れば自分のカーディガンもあるし。もう平気。



「じゃあ、今度さっそく行きましょ!また計画立てるわよ」

「うん。わかった」


空のお弁当箱を持って、わたしたちは屋上を出た。

…珠理には、色々とお世話になったし。美味しいパンケーキの1つくらいは、奢ってあげてもいいかな。あと、飲み物くらいは。


「あ〜!また楽しみが増えたわねぇ〜!」

「そーだね」




…よほど、そこのカフェに行くことが楽しみなのか、るんるん気分の珠理。

そんな姿を見ながら、わたしも少しだけ、たのしみになった。