「あっ!桜井さん!」
廊下を歩いていると、ふいに声をかけられた。顔を上げると、そこにはクラスメートの清水くん。
「おっ、ミノと一緒にいる!ちょうどよかった」
「久しぶりね。どうしたのよ」
…お、清水くんと珠理が会話してる。同じ中学ってのは聞いていたけど、話してるのは初めて見たなあ。めずらしい。
「あ、えっと、桜井さんに伝言なんだけど」
…わたし?なんだろう。
「なんか、三河さんがさ、担任から委員会のことで昼休みに呼び出されたから、お弁当先に一人で食べててーって」
「ええ〜〜?」
話を聞くと、どうやら瀬名はお弁当を片手に職員室へ走って行ったらしい。そういえば、瀬名の委員会担当の先生、うちの担任だったような…。
「…はあ、うん。わかった。ありがとう清水くん」
…仕方ない、今日はこのオネェと2人だな。
「いいえ〜。んじゃ、またあとでな!ミノも、またな!」
にかっ!と、爽やかな風のような笑顔で去って行った清水くん。なんだか少し、近海くんに近い空気を醸し出している気がする。
でも、そっかあ。瀬名がいないんじゃ、こいつと2人きりでご飯食べなきゃじゃんか。
別にいいけど、クラスで2人はつらいな。
「ねぇ。珠理」
「うん?」
「今日、屋上でお昼食べない?」
屋上なら、あまり人はいないし。少し寒いかもだけど、ジロジロ見られるよりマシだ。
どうかなと思ってチラリと顔を見ると、パアアと明るくなった珠理がいた。
「屋上、いいじゃない!楽しそう!」
…キラキラしている。
「そっか、じゃあ上に行こう。わたし、お弁当とってくる」
「はーい!」



