ヒミツにふれて、ふれさせて。



なんであいつは、わたしのためにここまでするんだろう。そんなに、友達想いなわけ?

わたしのことをお世話してるって感覚でいるのかな?支えてあげている友達のアタシ!みたいな感覚?

…どう考えても、よく分からないし。



「…」


…返信は、あとでいいや。既読つけちゃったけど。

今は、誰とも話したくない。大丈夫なわけないじゃんって言ってんじゃん。


「…どこか、行こう」


ひとりでいても、心がおかしくなりそうだ。どこかに出かけて、気分転換をして、身体を動かしたい。

何かしていないと、ダメになる。そんな気がする。



・・・



12時になったのを合図に、着替えを済ませて、財布と携帯、最低限のものを持って、家を出た。

行き先は決まっている。ハニーブロッサムだ。

リョウちゃんとよく一緒に行った場所。でも、想い出に浸かりたくて行くわけじゃない。そこまで、女々しい女の子じゃない。と、思っている。

…リョウちゃんと行った以前から、わたしはあのお店のケーキのファンだし。あのお店が好きになったのに、リョウちゃんは関係ないし。

あそこのケーキを食べられれば、それでいい。久しぶりに、店主のオジサンに会えれば、それでいい。

あわよくば、初めて食べたあの試作品のレアチーズケーキがメニューに並んでいればいい。けれど、数年待ってもレアチーズケーキは出ていないから、今回もおそらく並んではいない。

とりあえず、元気が欲しかった。もう一回泣いてもいいから、元気になりたかった。


…だから、わたしは、重い気持ちを引きずったまま、大好きなケーキ屋を目指して、歩く。