「休む理由は、風邪だって言っといて。学校に電話するのめんどくさくて」
『あ、うん!分かった!伝えておくね。お大事にね、めご』
「うん、ありがとう」
瀬名は、おそらく気づいたと思う。わたしが、リョウちゃんと何かあったって。鼻声でも咳が出るわけでもないのに、こんなに落ち込んで学校を休むなんて、リョウちゃんがらみでしかないから。
それでも、深く理由を聞かずに明日まで待ってくれようとするのは、彼女なりの優しさ。
——ピロン。
瀬名との電話が切れると、すぐにメッセージが飛んで来た。ついでに開いてみると、そのメッセージの主も瀬名で。
なんだ、何か言い忘れかなと思って見てみると…
【言い忘れたんだけど、ミノくんが、どうしても連絡したいから、メッセージのアカウント教えてくれって言ってたの!勝手なんだけど、彼もすごく慌ててたから教えちゃった…もしかしたら連絡くるかも。ごめんね!】
「…」
なぬ?!?!?!
瀬名、なんと勝手なことをしてくれたんだ、あの子は。というか、今の今まで珠理の存在を忘れかけていた。
…そういえば昨日、何かあったら連絡しろとかなんとか言ってたな…。もしかしてそれ関係?わたしが休んでいるから、もしやと思って連絡してこようとしてる?
——ピロン。
「……げっ」
2回目の受信音で、見たことのないアカウントが映し出された。アイコンはよく分からない風景だったけれど、名前のところに「ミノ」と書いてある。
…これ、絶対珠理からだ。
「……?」
おそるおそる、画面を開く。あれほど連絡しろって言って来たのに、わたしが何も言わなかったから怒ってるのかな。
【めご、大丈夫?】
………。
あれ、普通の内容だった。特に問いただすわけもなく、ただの安否確認って感じで、なんだかホッとした。
「…自分が誰かも書かないで、バカじゃないの、あのオネェ…」
でも、その文章を見ていると、なんだか落ち着いて。心が温かくなって、安心する。
珠理が、わたしのことを心配してくれているって。
いつも見ててくれているって、思わせてくれる。



