「…はい、もしもし」
むくりと身体を起こして、電話に出る。
『あ、もしもし、めご?どうしたの?もう先生来ちゃうよ?』
「あー…」
カーテンを開けたら、眩しい光が中に飛び込んで来た。今日は、快晴らしい。外に出るにはもってこいの天気だ。
…でも。
「…ごめん。今日はちょっと、休む」
やっぱりどうしても、外に出る気にはなれない。例え瀬名であっても、笑うことができないから。
『どうしたの?具合悪いの?大丈夫?』
「…」
『…めご?』
大丈夫な、わけない。大丈夫じゃないから、こうやって今、ひとりでいる。
それでも心配してくれる親友の声を聞くと、今まで張り詰めていた想いが、少しずつ、少しずつ緩んで行って。
「…瀬名、明日、話を聞いて欲しいの…。放課後、一緒にいて欲しい…」
『えっ?!う、うん、もちろんだよ!どうしちゃったの、めご』
「…明日、話すよ。たくさんたくさん聞いてほしい…。だから、今日はちょっと休むね。ごめんね」
…人間、大切な人だから話せない時があるって初めて分かった。本当は、明日になっても話したくないのかもしれない。瀬名に、弱いところを見せるのが恥ずかしいのか、情けないのか。
弱いところを人に見せたくないから、なのか。
でも、誰かに話さないと、自分が抱えられないくらいの気持ちが、今自分の中にあることには、気づいているから。
だから、今日のうちに、「話す」ことを予約しておく。



