ヒミツにふれて、ふれさせて。


・・・


気がついたら、朝になっていた。

あんなに泣いたというのに、あっけなく時間は経って、わたしはひとり、ベッドに寝転んでいた。


「めごー?あんた、学校行かなくていいのー?」

「…」


お母さんの声でむくりと身体を起こして、重たくなった瞼を持ち上げると、いつもの目覚まし時計はとっくに鳴り終わって、遅刻ギリギリの時間になっていた。


「…今日、行かない。行きたくないの」

「なにー?珍しいわね。体調悪いの?」

「…ん」


…昨日、あれからどうなったのか、あまり覚えていない。

リョウちゃんに、「元気でね」と伝えたのは覚えている。でも、それからまた悲しくて涙が溢れてきて…。

だから、最後にリョウちゃんに必死に笑いかけて、そのまま逃げるように去った。

そのくらいしか、覚えていない。



「じゃあ、自分で学校に連絡入れておきなさいよ。お母さん、これから仕事だからね」

「…ん」


うちの家は共働きだ。だから、夜までの間、うちにはほとんど人がいない。

しんとしたこの空間で、ひとりで寝ているのはくるしかった。でも、学校には行きたくない。そんな気分には、とてもなれない。


「…」


あれから、リョウちゃんは、ちゃんと家に帰れたかな。いつも、強いリョウちゃんが、昨日はあんなに弱っていた。

わたしの前で、あんなに泣いたのは見たことがなかった。

…きっと、今までたくさん、色々な想いを溜めてしまっていたんだよね。

でも、溜めてしまったのは、きっと、わたしがそうさせていたから。





〜♩〜♩


「…?」


物思いにふけっていると、隣で小さく携帯が鳴った。手を伸ばして画面を見ると、そこには『瀬名』の文字が。

…あぁ、瀬名に連絡するの、忘れてた。

時間は、もう8時半。ホームルームが始まったくらいだろうか。