誰かの一番になれない



ひとしきり堪能して、唇をツツッと私の耳元に寄せ、「やっべ」と彼は色のついた声音を吐いた。

「……もうそろそろ出なきゃいけないんじゃなかったっけ?」

クスクスと笑って誘ってやる。

「あー……」

彼は私のスマホにチラッと目をやる。

「時間ずらしてもらうわ」

「カノジョ、かわいそ」

彼が驚いた顔を見せたあと、皮肉めいた表情を浮かべる。

「お前が言うかね」

「ホントそれ」

私たちは目を合わせて笑った。