好きな人は、私と同じクラス。
話したことはノートを回収した時の『よろしく』のやり取りだけ。
とても手が震えていたのを覚えてる。
だって手が触れそうだったから。
声だって、落ち着く低いトーンで、『よろしく』の〝よ〟だけで私のハートを射抜いた。
一見無口で笑わなそうな男の子かと思いきや、よく笑うしよく動く爽やか系男子だった。
いつ好きになったのかよく思い出せない。
気づいたら好きになってる状況で。
これが初恋だってことも、
初めての片想いってことも、
恋にはたくさんの感情があるってこともキミによって教えられた。
同じクラスなのに遠くから眺めてるだけの私にとって唯一身近にキミを感じることが出来るのは、
青い鳥の中だけ。
クラスみんなと仲良くするために入れただけの青い鳥がシンボルのスマホアプリ。
当初はまったく魅力を感じなかったけど、キミを好きになってからどんどん惹き込まれていく日々に変化した。
そう、私はキミの追っかけをしてる。
これは健全な行為だと思ってる。
それでも、悪趣味なのは分かってる。
だってこんなのストーカーと一緒だし……。
それでも止められないのは、ただキミが好きだから。
キミの日常を感じるだけで私の気分は上がったり下がったりだ。
意外にも女の子と一緒に遊ぶキミ。
その子たちがあげた投稿に嫉妬してるなんてキミは知らないでしょ?
もし私がこんな地味女じゃなかったら、キミの視界に映っていたのかな?
『今日も目が合った。やっぱ俺の気のせい?笑』
そう投稿されたキミの文字にぼんやり見つめ、小さな確信をもった。
──キミは恋をしている。
そう思い始めると、嫌なことばかり心を支配して止まらなくなった。
好きって言えたらどんなに楽なのだろう。
その方法は、私には程遠い。
だから、私はここからキミを感じるだけにしているんだ。
この恋は、報われないんだから。
『今日のキブンは、晴れのち曇り』
そう綴った文字を私は青い鳥に飛ばした──。
fine.