涙のあとで、風は吹く。

 名前を呼ぶのに、返事はない。


 さっきまでのは、ほんの一瞬の奇跡だったのかもしれない、と思った。


 僕は取り替えの終わった花束を抱えて立ち上がる。



 「また、来るからね」



 呟くと、ふと、柔らかな風が吹いた気がした。