愛すべき、藤井。



───バチッ


あ、


気づけば目で追っていた藤井と、あろう事か目が合って、ドクンッと心臓が跳ねる。

だけど、それも一瞬の出来事で。


「っ……」


次の瞬間には、藤井に思いっきり目を逸らされてしまった。


やっぱ、おかしい。
いつもの藤井じゃない。

それに、私のことを意識してくれてる『おかしさ』なら嬉しいけど、藤井を見る限り違う。


きっと、いや。絶対。


私の気持ちを知ってしまった事に対して、少なからず藤井の中で葛藤があって、しかもその葛藤は私にとって良い意味じゃなくって『どうやって夏乃を傷付けずに友達に戻ればいいんだろう』って言う、私の気持ちへは応えられない藤井の葛藤だと思うんだ。


それを、感じ取ってしまう私って敏感なのかな。


それとも、思い違い?

ううん、違う。
藤井が単純だから分かりやすいんだ。


私のことを思うなら、もっと感情隠しといてくれればいいのに。そんな感情ダダ漏れにされてたら、嫌でも分かってしまう。


だからムカつくんだよ、藤井。
ちょっとは女の子の気持ちに寄り添えないわけ?


……いや、女の子の気持ちに寄り添える藤井なんて、気持ち悪さの塊だけどさ。