安心する藤井の匂い。
見慣れた制服姿。
別にイケメンって訳じゃないのに、笑った顔が可愛いちょっと得な顔。
その愛嬌と人柄で、後輩からの人気はバツグン。
私みたいにうっかり藤井を好きになってしまった女の子だって、きっと沢山いただろうし。
もしかしたらこれからも沢山でてくるかもしれない。
いつも真っ直ぐで、ドがつく鈍感で、どこまでもアホで、どうしようもない藤井だけど、
だからこそ藤井だから。
……そんな藤井を、私は好きになったから。
「私を藤井の彼女にしてください。ずっと、ずーっと、好きでいられる自信があります」
「っ……!フッ、やっべぇな。可愛すぎて理性もクソもねぇ。これでやっと『俺の』って言える」
───ドクンッ
言い終えた藤井が、どんどん私との距離を詰めて、キスできるくらいの距離でピタッと止まる。
「もらってやろっか、風邪」
「藤井が風邪引いても、私 看病に行かないよ?」
「はぁ?立花のは行くくせに!」
「嘘。看病に行ったら心配で帰れなくなるかも」
私の言葉に目を見開いた藤井は「あー、もう知らね」と呟いて、私の後頭部に手を当てた。
反対の手で私の指と絡ませて手を繋げば、もう私は逆らえない。
「……んっ」
降り注ぐ藤井からのキスに、クラクラする。
クラクラするのは熱のせいなのか、それともキスのせいなのか……なんて、考えることも出来ないほどに、角度を変えては降ってくる藤井のキスは、
「夏乃、可愛い」
……藤井のくせに、極上に甘いから悔しい。


