「……クソ野郎」
「はぁ?俺がどんだけ勇気だして」
「……遅い」
「ごめん」
「どうせ私のこと好きになるなら、もっと早くなってよ。そしたらあんなに泣かなくて済んだのに」
「うん。ごめん……俺、鈍いんだと思う」
「知ってるよ!!!そんなの!腹立つくらい鈍くて、ほんっと大嫌いなのに、なんで私こんなに藤井が好きなの?ムカつく!!藤井なんかを好きな自分がムカむく!」
「ブッ、俺にドハマりじゃん」
相変わらず私を見下ろす藤井が、ビックリするくらい優しく笑ってそんなこと言うから、勢いで言った自分の言葉に恥ずかしくなって私は両腕で自分の顔を隠した。
「もう俺のこと好きじゃなかったら、どうしようかと思った。……諦めるつもりはなかったけど」
「…い、いきなりキャラ違いすぎ!やだ!甘い雰囲気とかなんか恥ずかしくて死にそう!頭クラクラする……また熱上がったかも」
きっと、藤井のせいで顔は真っ赤だ。
けど、高熱のせいってことにして欲しい。藤井にキュンキュンしすぎて心臓がもたなそうなんて、悔しくて絶対に悟られたくない。
のに、
「夏乃、さっきの返事……聞きたい」
今日の藤井は逃がしてはくれなそうだ。


