高熱も相まってクラクラして、気を抜けば意識すら手放しそうな私は、必死に冷静さを取り戻そうと大きく深呼吸した。
「またそうやって期待させて……私のこと突き落とす作戦?もしそうなら本当にいい加減、藤井のこと嫌いになるよ!?」
冗談交じりに呟いて、自分に逃げ道を作る。
もし、これが冗談だったとしても『私は最初からそうだと思ってた』って言えるように、必死に自分を守ろうとしてる。
だって、そうでしょ?
今までこうして、藤井は何度私を簡単に突き落としたか分からない。
「……昨日、立花と夏乃がベッドの上にいるの見て、頭真っ白になった。急いで立花んち出て、外の空気吸った瞬間、今度は夏乃を置いてきたこと後悔した。……別にどうしてあーゆー状況になったかとはどーでもよくて、ただ、夏乃が立花に触られてるかもしれねぇって思ったらすげぇ嫌だった」
「……藤井?」
私の手をギュッと強く握った藤井。
私はもう、この状況が夢なんじゃないかって疑い始めてるよ。
……だって、藤井知ってる?
藤井が言ってるの、全部。
ヤキモチって言葉にすごく似てるんだもん。
アホな藤井の辞書には、もしかしたら載ってない言葉なのかもしれないけど、もしヤキモチなら……私本当に泣いちゃうくらい嬉しい。
あ……でも1つ、言っておくけど。
やきもち【焼(き)餅】
1.火であぶったもち。
2.(特に、異性との事での)嫉妬(しっと)。
私が言ってるヤキモチは、火であぶったもちじゃないからね。


