本当はもっと早く帰るつもりだったのに、時々苦しそうに唸る立花くんを、どうしてもほっとけなくて。


はぁ……


私はもしかしたら、筋金入りの良い人なのかもしれない。


気づけば涙も止まってた。
制服のワイシャツで拭ったせいで、白いワイシャツは見事にファンデーションで汚れ、


それだけならまだしも、顔からは破滅的に化粧が崩れていた。


21時を過ぎても立花家に誰か帰ってくることはなかったし、比較的、生活感に欠ける家で、もしかして立花くんのお家は普段から家族の帰りが遅いのかもしれない。



……立花くん、もしかして寂しいから色んな子と遊んでるんだったりして。


そう思うと、家に1人で置いてきたことを少しだけ申し訳なく思う。でも、朝まで一緒にいるわけにはいかないし、仕方ない……と自分に言い聞かせた。


立花家を後にしてからもしばらく立花くんについて色々考えていた私は、


行きに一緒に駅に停めた藤井のチャリが、当たり前だけどもうそこに停まっていないのを無意識に確認して、一瞬で頭の中が藤井でいっぱいになった。