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あれから、意識がモウロウとする立花くんを必死に看病した。



薬を飲ませて、汗を拭いて、熱冷まシートを替えて、藤井のことを気にしてる自分に必死に蓋をして、



目の前の立花くんの心配だけをしようと努力した。



だけど、ちょっとでも気を抜くとすぐに藤井がチラついて、藤井は何で帰っちゃったんだろうって……結局そればっかり考えてしまった。



だって藤井がもし怒って帰ってしまったんだとしたら、少なからず藤井は私のことが好きってことじゃないの?


私と立花くんのことを誤解して怒った……とか、私があれだけ言われてたにも関わらず、まったく立花くんに対する危機感がなかったことに怒ったとか。


どうしたって、藤井を好きな私はちょっと期待してしまう。



薬を飲んでぐっすり眠ってしまった立花くんが、起きてから食べられるようにと、伊藤家で風邪を引いた時の定番メニューである、玉子とネギの簡単なおじやを作りながら、勝手にキッチンを借りてしまったけれど、今回は大目に見てくださいと、誰もいないキッチンで何に対してか分からないお辞儀して、


寝相の悪い立花くんに毛布を掛けなおして家を出た時にはもう21時を回っていたと思う。