「…………」

「……っ」



私と立花くんはベッドの上。
きっと傍から見たら私をベッドに押し倒す立花くん……見たいな絵面だろう。


一方、右手にはコップに入った水、反対の手にタオルを持っている藤井は、何も発することなく、私たちを見つめたまま、静止している。



「ふ、藤井……あのね」

「…………」




───ガタッ


───バタンッ



「ちょ、藤井!!?」



私の言葉も聞かずに、床に水の入ったコップとタオルを置いた藤井は、そのまま勢いよく部屋を出ていってしまった。


……私の藤井を呼ぶ声だけが虚しく響く。


一瞬、ドアへと視線を向けた立花くんは、ついに耐えきれなくなったのか、ゴロンとベッドの脇に再び転がって、またすぐに規則正しい寝息が聞こえ始めた。



どうせなら、もっと早くどいてよ。



ベッドの隅っこで丸まって眠る立花くんを見つめながら、鼻の奥がツーンとして、


次の瞬間にはポロポロ勝手に涙が頬を伝った。