ドアを開けてすぐ、窓際に置いてあるベッドの上で、たった毛布1枚に包まって横たわる、少し呼吸の荒い立花くんを見つけた。
「立花くん、熱まだ高いの?」
「んー、39度ぐらい……つか、呼んでねぇよ?藤井くん」
「うるせぇ、熱があろうとお前は危険だ。むしろ熱があった方が危険だ」
藤井の言葉に力なくフッと笑う立花くんは、やっぱり病人だけあって、いつものチャラオーラもすっかり消えている。
「とりあえず、薬飲んで?何か食べれそう?ゼリーとか」
買い物してきた袋をガサガサあさって、薬とゼリーを取り出す私に「食えなそう」と呟いて腕で顔を覆ってしまった立花くん。
きっと、立花くんファンからしたらこの光景は悶えるほどのものなんだろうなぁ。
弱ってるイケメンって、儚げで綺麗だし、確かに寝込み襲いたくなるのも分からんでもない。
まぁ、私は絶対ないけど。
普段の立花くんの憎たらしい言葉の数々を思い出して軽く首を振った私は、
「こら、少しは食べなきゃ治らないよ」
顔を覆っていた立花くんの腕をどかして、顔を覗き込んだ。


