愛すべき、藤井。



「てか、呼び出されてホイホイ行くんじゃねぇよ」

「だって、行かないのも失礼じゃんか」


なぜかご立腹の藤井に、唇を尖らせて言い返したところで、タイミング良く担任が教室へとやって来て、HRの始まりを知らせた。



ほんっと、昨日から藤井の言動には振り回されっぱなしだ。


いや、まぁ。


今に始まった事じゃないんだけどさ。



───ブブッ


ブレザーのポケットの中、スマホが小さく振動したのに気付いて、担任にバレないように取り出して机の下でこっそり確認した。



そこには
【立花 祐也:ヘルプ ミー】


立花くんからのSOSが届いていて、


またどうせくだらないことでしょ?と、返信もせずにスマホのロックボタンを押しかけて思いとどまる。


いや、待て。

これで本当に本当にピンチだったら?
もしこれで立花くんに何かあったら?


私、後味悪すぎて生きた心地しなくない?



【どーしたの?】


きっと、絶対。
立花くんのことだからくだらないことだと思うけど、一応ね!一応聞いておこう。


送信ボタンを押して、ハァとため息を一つ。


これでくだらない事が返ってきたら、今度こそ未読無視してやるから。