「ごめんね、藤井。勝手に香織ちゃんに嫉妬して、藤井のこと避けててごめん」



夏乃って、こんな可愛かったっけ?
こんな、ちっちゃかったっけ。


なんで、こう



───グイッ




「……簡単に抱きしめられてんじゃねぇよ」



無防備なんだろう。



俺に腕を引かれて抱きしめられても、嫌がるどころかギュッと抱きついて来た夏乃に、またドキッと胸が甘く疼いた。


やだから。


俺以外にも、そんな無防備だと、俺……やだからな。



そんな思いでギュッと夏乃を抱きしめれば、


「思いのほか藤井に会いたかったっぽい」


今日の夏乃は素直すぎて、俺から理性を奪おうとする。



「……だろうな」

「何よ、偉そうに」

「……良かった」

「なにが良かった?」

「……会いたいって思ってたのが、俺だけじゃなくて良かった」



顔を上げようとする夏乃の頭をグッと自分の胸へと押し付けた。夏乃が素直だと、調子来るって俺まで素直になっちまう。


絶対に今、真っ赤だから。


夏乃には見られたくねぇ。絶対、馬鹿にされんのがオチだ。「あれ?藤井タコみたいだよ!タコ!」とか言って。