自惚れかもしれねぇけど夏乃の口から出てくるのは俺の『嫌いなところ』じゃなくて、
『良いところ』だったり……する?
『……実は真面目でさ。頼まれた仕事は最後まで何があってもやり抜くとことか、どんなにしょーもない事でも、私の話ちゃんと聞いてくれるとことか、鈍感なくせに気配りは上手って言う謎の素質あるとことか、特別イケてるわけじゃないのに、笑った顔思い出すと可愛いなって思わされるとことか』
「ちょ、待った!!なんだこれ!!」
聞いてて勝手に恥ずかしくなって、夏乃の言葉を遮った。
夏乃は、俺のそういう所を評価してくれてんのか?そういう所を好きだって思ってくれてんのか?
にしても、最後の"特別イケてるわけじゃないのに"ってやつ、余計だろ。
余計なお世話だっつーの。
そんなこと思いながらも口元は緩んで、
夏乃に益々会いたくなって、あと50mほど先に見えてきた交差点へと俺は無意識に走り出していた。
もし、すれ違っても
今日は家まで会いに行く。
もう、決めた。


