そんな夏乃に、俺はまた静かに口を開く。
「俺さ〜。夏乃に「何してた？」って聞かれたとき、心臓止まりかけた」
『……え？』
どう言葉にしたら、夏乃に伝わるのか。
考えれば考えるほどから回る気がして、自分のアホさ加減に今になってウンザリする。
俺がアホでいられたのは、
そんなアホな俺が安心してアホでいれる環境を、いつも先回って夏乃が作ってくれてたからだ。
「ちょうど、夏乃のこと考えてたから」
思ったことを、そのまま言葉にする。
伝えたいことを、そのまま……これで伝われ、と短い言葉に俺の全部を込めた。
自分の気持ちを言葉にするのは得意じゃないから、これが今の俺の精一杯。
なのに、
俺の言葉を聞いても夏乃は黙ったままで、
スマホを耳に当てたまま、俺の不安はどんどん大きくなる。
いや、なんか言えよ、アホか。
俺がどんだけ勇気出して、今の一言にどんだけ気持ち込めて言ったと思ってんだよ！！
