愛すべき、藤井。



『……何してた?ご飯?あ、それとも先にお風呂だった?』



───ドキッ



夏乃のことを考えてた俺の心臓は夏乃の質問に素直に反応した。



夏乃の言葉は、緊張してるのか、早口で。
あー、久しぶりの電話にドギマギしてんのは俺だけじゃねぇんだ……って、少し気が楽になる。



「飯は食った。今日はトンカツでラッキーって思いながら。風呂も入った。夏の間はシャワーだけだったけど、今日から浴槽にお湯張ってあって、やっぱり湯船はいいな〜って、思いながら」


『……そ、そっか』



自分で言っておきながら、何言ってたんだ俺。緊張のせいなのか、ペラペラとどうでもいいことまで口にしてる自覚が自分でもあって、


自分の言葉を思い返してフッと笑いが零れる。


アホくさ。

つーか、アホだ。


今日から浴槽にお湯張ってあって……って、アホすぎだろ、まじかよ俺。


せっかく夏乃から電話くれたんだから、このチャンスにちゃんと話さねぇと。浴槽にお湯張ってあった話はどうでもいいんだよ。



「夏乃」

『……ごめん、用事があってかけたんだけど、でも用事ってほどのことでもなくて、あの』



俺の言葉に慌てて言葉を紡いだ夏乃。