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家に帰った俺は、そのまんまできたばかりの飯を食って、当たり前みたいに残業で遅い親父より先に一番風呂に入った。
髪も乾かさずにベッドにダイブして、
スマホで最新ラブソングとか流しながら、
考えるのは夏乃のこと。
「どーすっかな、これ」
夏乃の分ももらったクロワッサン。
話しかければ返事くらいしてくれるし、夏乃の大好きなクロワッサンだし。貰ってくれない……なんてことは、ないと思う。
ただ、どうせならこのクロワッサン使って仲直りできねぇかな〜……って。
こんなこと考えてる時点でダサいよなぁ。
謝ったって、何に対して謝ってんのか分かんないって言われて、逆に関係が悪化しかねない。
だからって開き直ってしまったら、もう俺達の関係は修復不可能な気がする。
「それだけは、やだ」
夏乃がいない毎日なんて、なんの意味もない。夏乃がいるから俺は笑ってて、夏乃がいるから楽しくて、夏乃がいるから腹立って、夏乃がいるから……
満たされてた。


