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ファミレスを出て香織ちゃんと『また会おうね』ってお互い手を振りあった。
出逢い方は最悪だったけれど、きっと香織ちゃんとは良い友達になれるだろうなぁって、思う。
家までの道を1人で歩きながら、
どうしても今すぐ声が聞きたい衝動を抑えられなくなって、
【藤井 絢斗】と表示されたスマホ画面を見つめている。もう、19時を回っている。
夜ご飯中かもしれない……
お風呂かもしれない……
もしかしたら、どこか遊びに行ってるかもしれない……
もし出なかったらどうしよう。
そんな悲しくて怖いことってない。
……フゥ、と一つため息に近い息を吐いて
それでも私は藤井と繋がるために思い切って発信ボタンを押した。
───プルルルルル
聞こえる機械音。
ワンコール……
ツーコール…………
どんどん回数を稼ぐその音に、不安は大きくなるばかりで、このままでないのかな?着信だけ残すのも嫌だなぁ……なんて思っていたその時、
『っ、もしもし?』
「…………っ」
繋がった藤井との電話に、口から心臓出ちゃうかと思った。電話口の藤井の声がなんかやけに久しぶりに感じて……。
好きが、
溢れて止まらないの。


