「夏乃ちゃん、また何か勘違いしてるでしょ〜!絢斗くんからね?【大事なやつなら、いるよ。】って返信があったの」
私の顔から瞬時に勘違いを読み取った香織ちゃんは、人の気持ちに過敏なのかな?
だとしたら藤井に少し、その鋭さを分けてあげて欲しいと思った。
「……大事なやつ……?何そのハッキリしない感じ!藤井のくせにもったいぶってて腹立つ〜!」
「誰かな?」「私の知ってる人かな?」そんな独り言にも近い言葉を呟いては顔を青く染めていく私に、今まで笑っていた香織ちゃんが初めて顔を歪めた。
「鈍い!夏乃ちゃんも絢斗くんに負けず劣らず鈍いよ〜!その【大事なやつ】こそが、夏乃ちゃんでしょ!!なんで分かんないの〜?」
「……え、いや……私?ないない!だって藤井は」
「なくない!!この前、たまたま帰りに絢斗くんに会って、夏乃ちゃんの話を永遠聞かされたよ!『話したい』『1人の放課後は寂しい』って、そんな事ばっかり聞かされたんだから。
口を開けば夏乃……夏乃……。笑っちゃった!」
……嘘だ。
……え、ってか2人は一緒に帰ってるんじゃなかったの?いや、確かに今日は香織ちゃん1人で買い物してたし……。
え、でも……2人で帰ってるの見たって、
え?!どういうこと?!


