愛すべき、藤井。


だけど、実際になつめちゃんに藤井の連絡先を教えたかと聞かれれば答えはノーで。


あれから特別なつめちゃんが藤井の連絡先を聞いてくることはなかったし、

藤井のアホさ加減に私も頭を悩ませていて、それどころじゃなかったってのが本当のところだ。


でも、全然思い出さなかったわけじゃない。


本当はなつめちゃんが藤井のことで話しかけて来ないことに、心のどこかでホッとしてる自分がいたのもまた、本当のことだから。


「……さっき、LINEが届いたから。てっきり夏乃が教えたのかと思って」



───ドクン


「え、連絡してたのって、さっき文化祭で会った子じゃなかったの?」

「いや、香織からも連絡来てんだけどさ……」



……頭をポリポリと書きながら、バツが悪そうに呟いた藤井の言葉は、語尾にかけて弱々しくなっていった。



つまり、それは2人から連絡が来てるってことですか?藤井のくせに、女の子2人と同時に連絡を取っている、ということですか?


私の隣で。


何食わぬ顔して、そんなハーレムを楽しんでいたのですか?



藤井のくせに。
藤井なんかのくせに。


何、モテちゃってんのよ。