「んじゃ、よろしく~」と言って、片手を上げながら教室を出て行った猫くん。


「……あ、あ…!?」


私は、今さっき猫くんの手が当てられていた自分の頭にそっと触れる。

ぽんぽんされた。

男の子に、ぽんぽんされた。


いや、何度か玲央くんにされたことはあったかもしれないけど…

その時とは全然違う。


どきどきして、顔が、体が熱くて。

しばらくその場から動けずにいたその時だった。


「陽愛」

「ひいっ!!!」


突然呼ばれて肩をびくつかせて、危うく財布を落としそうになった。


「大丈夫かよ」

「れ、玲央くん…!!」


振り返れば、少し驚いた表情を浮かべていた玲央くんがいた。


「驚かせたみたいで、悪ぃ」


ちょっとばつが悪そうに眉を下げるその姿もまさしくイケメンのそれだ。