………なのに。


そんな、嫌いなタイプのあの女に。


俺は今。


「……なにした……?」


いつの間にか火照っている顔に手を当てると、やっぱり熱くなってて。


自然と、一歩一歩進める足は徐々に早くなっていて。

そのせいか息も少し上がっていた。


「……バカじゃん、俺」


手の甲を、自分の唇に当てる。

……違う。

さっきのはこんな、ゴツゴツした感触じゃなかった。


もっと柔らかくて、あたたかくて……。


「……って、何考えてんだよさっきから俺は!」


前髪を留めている、お気に入りのピンを外して、ぐしゃりと髪をつかむ。


目を開ければ頭の中に

閉じれば余計に鮮明に


あいつの顔が浮かぶ。