『え…ここ…?…何これ豪華。兄さんの事務所どれだけお金持ちなの?それとも私の感覚がおかしい?』



「おかしくねぇぞ。緋代が正常だ。」



『…どれたけ気に入られてるの兄さんは…。はっもしかして社長さんは兄さんの彼女…?!』



「んな訳あるか。男だよ。オジサンだよ。」



『だよね…。何階?』



「二十四階。」



『はいはい。』



「…つか力持ちだな。俺を運べるとか怪力だぞ。」



『そりゃ普段双子を片手ずつで抱っこしたり、料理、洗濯、あとは普段の学校の荷物で鍛えられてるからね。忙しい時は前と後ろで双子を抱えて料理したことあるからね。…今思うと大変だったなあ…。』



「…さすが主婦。いつもありがとうございます。」



『もっと主婦を敬って。世の中の主婦は仕事してる男性と同じかそれ以上に働いてるんだからね。しかも給料貰えないし。』



主婦という仕事に給料があればもっと頑張れると思います。



「そうだな。ホント、母さんも緋代もお疲れ様だよ。自立した今、凄く助かってるんだと思うよ。…あ、鍵はこれ。」



『私はまだ一人暮らしは出来ないな。双子が高校生ぐらいになったら一人暮らし開始ってところ。…ねー、これたくさんあってどれかわかんないよ?』



「確かに。双子は心配だな。まだ年中だし。…これこれ、この複雑な形の鍵。」



『お母さんもまだ大変だし、先に一人暮らしするのは氷月だと思う。…ガチャあ、開いた。』