「またね!桃ちゃん!」


「はい!ありがとうございました〜!気をつけて!」


学校の生徒玄関で、茜さんたちを送り出す。
茜さんは、もう今日の夜にはアメリカに戻るらしい。当分は帰ってこないと。今日一日会っただけだけど、もうまるでお姉ちゃんに近い感覚になっていて寂しくなる。


あんなにヤキモチ焼いてモヤモヤしていたのが嘘みたいだ。


「ちょ、茜ちゃーん!俺と和那にはバイバイしないのかよ!」


「あ、ごめん。桃ちゃんがあんまりかわいくて野村くんたちかすんでた」


「『たち』って。それ俺も含まれてんの?」


「さ〜?桃ちゃんとお幸せに!」


野村先輩の後ろから声をかける如月先輩に、イタズラっぽく笑った茜さん。


「茜も」


そう言った如月先輩の表情は、前よりもずっとスッキリしているように見えた。


茜さんたちの背中を見送ってから、みっちゃんはこれからバイトだと言って、野村先輩がみっちゃんをバイト先まで送ることになった。