「茜さん、ありがとうございますっ、私、全部初めてのことで、自分に自信がなくて……だけど、そんな風に言ってもらえて、すごく……」


溶けた不安が涙と一緒にポロポロと外に出て行く。


「桃ちゃんはもっと自分に自信持った方がいい。和那を変えたのは紛れもない、桃ちゃんなんだから。あんな風に人前で嫉妬する和那なんて、びっくりだよ」


「……茜さんは、もし、過去が変えられて、今もまだ如月先輩と付き合っていたらとか、同じ学校に通っていたらとか、そういうこと、考えないんですか?」


「んー。昔は考えていたかな。でも……、私がもしここにいて和那と付き合い続けていたとしても、和那は桃ちゃんと出会って桃ちゃんに恋をしていたと思うよ。私も。遅くなっても留学は夢だったから、そっちを選んでいた。タイミングが違っただけで、未来はこうなっていたと思う。だから、これから先、また不安なことがあっても、桃ちゃんなら大丈夫。なんかあったらすぐ口に出していいな。男って言わないとわからない生き物だからさ」


「めんどくさいよね〜」なんて付け加えて笑った茜さんは、ほんっとうに改めて綺麗な人で。


如月先輩の初めてがこの人だって知られたことが、私の中の宝物になった。


「茜さん、好きですぅ〜」


「突然の告白!桃ちゃんが良かったら、これからも仲良くしてほしいな」


茜さんはそう言って、今日一番の笑顔で、私の手を取った。