こっち向いて笑って、先輩!



「よかった……」


先輩はそう言って、ギュッと抱きしめる力を強くした。


この状況、夢みたいですごく嬉しいはずなのに、腑に落ちないことがまだずっと、一番大きいしこりがずっと残っていて、わからない。


「先輩っ、でも、女の人と会ってましたよね。すごく優しく笑ってて、先輩のすごく大切な人なんだろうなって、わかりましたっ。噂だけなら、ただの噂かって流せるけど、でも、この目で見ちゃったからっ」


ヤキモチを焼いていい分際じゃないことくらいわかってる。


先輩に抱きしめられて、告白されて、それで信じられないなんて言ってるのはバチが当たる。


でも、ちゃんと知りたいんだ。


先輩のことが、大好きだから。


全部、全部、好きだから。


「っ、そっか。見られてたんだ。だから……」


先輩は、私の今までの行動や台詞を全部理解したみたいに「なるほどね」と頷く。


「ちゃんと話したい。聞いてくれるか?来原」


先輩にそう言われて、私はコクンと大きく頷いた。