「事故になんかしないよ。俺が、したくてしたから」
「えっ、……」
ずっと、華麗にあしらわれていたのに。
めんどくさいと、うるさいと、邪魔だと、散々そう言われてきたんだ。
「俺、来原とキスしたかった。真壁に呼び出されたってきいて、すげー焦って。今、もしかしたらもう遅いのかもしれないけど。1%でも可能性があるなら、ちゃんと言いたい。来原のことが、好き」
「……う、嘘」
先輩の髪の隙間から見える耳が真っ赤で、冗談を言ってるとは思えなかった。
先輩の目は真剣そのもので。
「こんな嘘言わないから」
「っ、でも、」
「真壁に、なんて返事したの」
ちょっとイラついた先輩の声。
そんなもの……。決まってるよ。
気付いたら涙が流れていて、それを手で何度も拭う。
「わ、私は、き、如月先輩が、好きだから、そんな気持ちで、真壁くんとは、遊びに行けないって、断りましたっ、先輩のこと、ずっと、ずっとずっと大好きだから、でも……っ」
でも、先輩には大切な人がいますよね。
知っているのに諦められなくてごめんなさい。
それを言いたかったのに、先輩にぎゅっと抱きしめられて、言えなかった。



