こっち向いて笑って、先輩!



「屈んで」


「えっ、ちょっ」


俺は、来原の腕をグイッと下に引っ張って彼女と一緒に、身体を屈めてから、渡り廊下の端に身を寄せる。


ちょうど渡り廊下の壁に体が隠れて、向こうの棟を歩いている先生たちからも隠れることができた。


あとは、先生たちが怪しんでこちらまで来ないことを祈るだけ。


「野山先生〜明日のバスのことなんですけど」


「あぁ」


ほかの先生の声がして、少しだけ顔を上げて様子を見ると、先生たちは反対側へと歩いていった。


「……はぁ、もう大丈夫だ」


「あっ、はい。すみません。私が怒られないようにしてくれて」


「……」


「如月先輩がいなかったら、今頃こっぴどく叱られてました。へへ。ありがとうございます」


俺の背中で丸くなってる来原が小声でそう言う。


顔が見たい。今すぐこの距離で。