こっち向いて笑って、先輩!






渡り廊下が見えてきたのと同時に、人影がこちらの方に歩いてくるのが見えた。


「あっ、」


「こんなところでなにしてる」


自分こそなにしてるんだよと心の中で自分に突っ込みながら、上着のポケットに手を入れて目を大きくしてこちらを見ている真壁に声をかけた。


飯田の言ったことが冗談なら良かったのに、どうやら本当に真壁は来原を呼び出していたみたいだ。


なんだか顔が満足げな気がする。



「すみません。ちょっとトイレに」


「それなら今通り過ぎてきたけど」


「あ、ハハッ。俺方向音痴でよく迷うんですよね〜。じゃっ」


『今まで女の子と話してました』って顔に書いてあるぞと言いたくなるのを堪えながら、部屋に帰っていった真壁の背中を見送った。


もう、来原はいないかもしれない。


真壁の顔はなんだかスッキリして見えたから、もしかしたらもう告白したのかもしれない。


最近のあの2人は仲が良く感じられた。


無性にイライラした。


来原1人に色々任せていたくせに。
気付けばあんな風に2人でご飯を食べる仲になっていて、なんだか仲良さげで。