「俺なら、兄貴とちょっと似てるじゃん」



にっこり笑ってあたしの顔をのぞき込む。



「似てるけど……」



10年以上、耕ちゃんを見てきたあたしにいきなり千太にしろと言われても無理に決まってる。



「俺だって、花菜が兄貴を想った年月くらい花菜のこと想ってる」


「……千太」



千太はいつも耕ちゃんへの想いを聞いてくれていた。
その度に辛い思いをさせてたなんて知らなかった。



「だから、俺と恋をしてみない?」


「好きになれるかなんてわからないよ?」


「いいんだよ。兄貴が結婚したら俺は花菜をつかまえにいくつもりだったんだ」



気づかなかった千太の大きな気持ちに胸が締め付けられる。



「ゆっくりでいい。また兄貴のことで泣きたくなった時は1人で泣かないで、俺を頼って」


「……ありがとう」



千太にはいままでも助けられてきたけど、これからもあたしを助けてくれるんだね。

その大きな気持ちに応えられるかなんてわからないけど。