「腹減った」
「ええっ」
まさか晩御飯のお誘いされている?いや、お誘いっていうか、もうこうやって手まで繋いで歩いてるってことは強制されている??
「…何食べたいの?」
隆一くんは少し考えるように顔をしかめた。
うーん、決まってないのか。
まあ、こんな時間まで待たせちゃったし…よし。
「今日はおごります。なんでも好きなものをどうぞ」
「……」
それでも迷ってるみたいだ。
こういうとこあるよな、隆一くんて。なんかちょっとかわいい、なんてね。
たぶん本人に言ったら不機嫌になるだろうから言わないけど。
「いーよ、大いに悩んでくれ!」
私は笑いながら子供みたいにつないだ手をゆらゆら揺らす。
無口な彼は相変わらず無言で悩みながら、
つないでいる手はどんなに揺れても離さない。
お互い何も話さず、だけどお互いを理解しながら心地よい夜道の空間。
にぎやかな商店街にさしかかるまで、
私たちはそんな時間に身をおいていた。



