無言テイストの愛の表現



「りりか!!」


ふいに後ろから女の人の声がして振り向くと、ちょうど私の真横を通り過ぎて女の子のほうへ駆け寄っていった。



「勝手にいっちゃだめっていったでしょ!」


「ママぁ…ボールどっかいっちゃったの…」


「そんなのママが後で探してあげるから、ほら! すみません、ご迷惑おかけしたみたいで…」



母親らしき女性は女の子を抱き上げると、彼に何度も頭を下げてお礼を言った。




「ほら、りりか!勝手なことしてお兄さんに迷惑かけたんだから、ゴメンナサイしなさい」



すると女性は彼の手元のに滲んだ血に気づいて、声を上げた。


「やだ、あなた血が…!ほんとうにごめんなさい、今何も持っていなくて…すぐそこに家があるのでいらしてください。手当させてもらいますから」




「……いえ、平気なんで」



彼はそれだけ言って、道脇に落ちたスクールバックを拾いあげた。



「ですけど…」



申し訳なさそうにいう女性の腕の中から、女の子が顔を上げた。