「…あ、たし!写真撮りにきただけだからっ…戻る!!!!」
あたしは急いで翔を置いて部室から出ようとすると、
ーパシッ
腕を掴まれて、座っていた翔の腕の中にすっぽりと入り込む。
うわあ…無理っ…//
「…俺といなかった間…他の男に触らせた…?」
優しく翔の腕に包まれながら、甘くて切ない声を耳元で聞かせてくる翔。
……ひゃあ…だから無理って…!!
あたしはすぐに逃げようと思ったけど、なぜか少しだけ震えてる翔に気づいてとどまった。
…もし、あたしが翔との約束破ったって言ったら…何されるのかな…。
そう思ったときには、体は勝手に動いてた。
「…翔の傷、見られた…よ」
「…は?」
優しく掴まれていた腕が強くなって、急に痛くなる。
すると、翔の反応はあたしの予想していたものではなく
ふっと笑って、あたしを甘い視線でとらえた。
「じゃあ、そんときに俺のこと思い出したんだ?」
「…へっ、?!」
「俺に痛いことされたの思い出して…また俺に何かされんの期待して…?」
「し、してないっ!!」
「それで頭ん中俺のことばっかにしてた?」
意地悪な笑顔でそういう翔は、色気がすごくて…。
あたしは倒れそうなくらいくらくらする。
「…してないもん…」
「…ふっ、…先輩って、変態…?」
「違う…っ!!…もうっ、バカ!!」
あたしはバタバタとバスケ部の部室から出て、走った。
ドキドキが止まんなくて…苦しい。
やっと翔に会えたのに…逃げてきちゃった…。
火照った頬をぱしっと叩いて、あたしは体育館に戻った。

