俺はすぐに先輩の教室に行って、本当かどうか確認した。



それくらい信じたくなかった。




「あの人は!!?留学ってほんとかよ?!」




「……翔くん、とりあえず来て」



休み時間になっていたけど、俺のでかすぎる声にクラスは静まり返っていた。



だって無理だろ。



落ち着けるわけない。




真知さんは俺を空き教室に連れてって、真剣な顔をしていた。




「…留学の話はほんと」



「…?!」



「真白は前からそのテストを受けてたの、翔くんには秘密で」



俺はそれを聞いた瞬間、なにかが切れる音がした。



「留学ってどこだよ」



「…?!」



「早く言えよ!!俺はあいつのとこ行かねーといけねーんだよ!!!」




真知さんに怒鳴っても仕方ないのに、俺は子供だからこんなことをしてしまう。



また体と心がバラバラになってる。




「早く言えって!!!」




俺は隣の壁をガンっと叩くと、パラパラと破片が落ちていく。



すると真知さんは、そんな俺にビンタした。



「あんたの愛し方はおかしいよ!!!…おかしい…でも、真白はいつも幸せそうだった…」



「…」



「でも今回は、真白の気持ちをわかってあげて。…お願い、探さないであげて…っ」




まるで自分が真白先輩になったように俺に言う真知さんを見てたら心臓がえぐれるように痛かった。



…これ以上、この人をこんな顔させたら…だめだ。



俺は我にかえって、教室を出た。




目を閉じると、嬉しそうに笑う真白先輩しか出てこなかった。