♢翔SIDE♢
走っていった先輩を追いかけて、校舎の中に入ると、かすかに先輩の泣き声が聞こえる。
その声を辿って、先輩の教室にたどり着くとそこには、目を真っ赤にして泣いている先輩と、
柏木先輩がいた。
「…何泣いてんだよ…」
「っ…ヒック…泣いてないもんっ…」
「…ペットのくせに強がってんじゃねーよ」
先輩が、優しく腕に引き寄せられ、柏木先輩の腕の中にすっぽりと入る。
あんなに泣いてる先輩は、初めて見た。
俺は、目の前の光景がすごく嫌すぎて吐き気がする。
今すぐどっちも殺してしまいたい。
でもそんなことしたら、あの人はもっと苦しい顔をする。
そんなの見る勇気は俺にはねぇ。
俺はその場から離れた。
これ以上、自分の気がおかしくなるのはいけない気がした。
…なんなんだよ。
俺が何したっていうんだよ…さっきまで俺に抱きついて笑ってたくせに…。

