真白先輩が可愛すぎる件について




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お客さんがいなくなり、日も沈んで来た頃、最後の生徒だけによるステージが始まる。




バンドの演奏や、劇など…結構去年よりも本格的だったから、あたしは緊張してきてしまった。



…うぅ…こんなときに翔がいたら落ち着かせてくれるのに…。




もうあのとき変な意地張らなければよかった…。




「…よ〜し!お前ら出番だ!!楽しんでいくぞ!!」



「よっしゃ〜!!」



会長のかけ声により、みんな気合を入れてる。



なんでこんな余裕なんだろ…イケメンとか美少女だからか…。




あたしは無理…。



でも楓さんが相手役なら、まあ大丈夫かな…




あたしは、ふうっと深呼吸して出番を待つ。




「皆さんお待ちかね!!この学校の姫の登場でーす!!」




なんだかすごい紹介をされ、ステージに立つとあまりの人数に目をぱちぱちする。



なにこれっ…?!こんなすごいの?!




あたしは、緊張しながらも楓さんが来るのをじっと待っていると、




「そしてそして!相手役は学校一のモテ男!成宮翔です!!!」




…え?



あたしは現実だと思えない。



だって目の前にはこっちに余裕な顔で歩いてくる翔がいるんだもん。




「ではっ!姫の告白です!どうぞ!」




…え?!え?!



あたしの相手役が翔?!



どういうこと?!




(は、や、く)



嬉しそうに翔が口パクであたしを急かしてくる。



こんなの…は、恥ずかしくて無理…!



泣きそうになるあたしを見て、翔はもっと嬉しそうにする。




この変態っ!



ま、まさか…どうせ今から言わせるからあのとき聞かなかったの?!



…あ!そういえば…あのときの会長の笑み…怪しかったもん。



絶対計画してた…!!



でも…言うしかない。





「…あ、あたしは…君だけのお姫様になりたい、な…?//」




絞り出した声は、マイクでやっと通ったぐらい小さくなってしまった。



でもこれが精一杯。




「…なに?聞こえねーって先輩」




その声に、あたしはぎゅっと心臓を掴まれたみたいにドキドキする。




「…な、何も言ってないもん…」




「…ぷっ、嘘つき」




すると今度は、いたずらな笑顔でこっちを見てくるから頭がくらくらした。



…あたし、顔真っ赤になってる…ぜったい。




あたしが恥ずかしくてうつむいていると、大きな歓声があがった。



「翔く〜ん!こっちみてー!」



「彼女いますか〜〜?…きゃー聞いちゃったぁー!」




…翔のファンの子たちかな…



やっぱりすごい人気…




翔は、その声にびっくりしてたけど嬉しそうにちょっと苦笑いしてる。




…なによ。




あたしみたいなバカな年上より…可愛い同い年の子のほうがいいんじゃないのっ!



………もうやだっ。





「…か、…翔はしーちゃんのものですからっ!!」





あたしは翔に抱きついて、すぐ離れた。



やっぱり恥ずかしい…!!




「…ふっ」




翔の反応はというと…なぜか笑ってる。



…なんなの…バカにしてるのっ?!



やめとけばよかった…





「ごめん、俺この人のモノなんだって」




翔は今まで見たことないくらい嬉しそうな顔をしてる。



……もう、ずるい。



そんな笑顔急に見せるんだもん…。




あたしの心臓のドキドキはすごいことになってる。




「俺の全部、先輩にあげる。だからいつでも俺のことだけ考えて。俺といるときも、他の奴といるときも」




ーきゅんッ



あたしよりずっと年上のような雰囲気を出す翔に、顔が熱くなるのがわかる。