あたしの後ろから来た女の子が、陽向ちゃんの前に来た。




「なんだ?」



「あのっ、…この後一緒に周れないかな…っ?」



「あーごめん。俺こいつの相手で精一杯だわ」




「そ、そっか…新くんからしょうがないよね…ごめんね!それじゃ!」





あたしがポカーンとしてる間に、その女の子はいなくなった。




「別に俺の相手してもらわなくていいんすけど〜」



「は?お前が俺に構ってくださいとか言いに来たんだろ?記憶喪失かよ!だっせー!」



「…俺、そういう先輩のバカなとこすげー好きっす…」



「っなんだよお前!きめーぞ…」



「ははは〜キモいって言われた〜でも確かに俺きめぇ」




二人は、アオハルですごく仲良くなって、正確に言えば新が陽向ちゃんに付きまとってる。



今まで部活とかしてこなかったみたいだから、先輩とかいなかったんだろうなぁ。



だから、頼れる人がいるって嬉しいんだよね。



それにしても…懐きすぎ。




「…もう二人とも!邪魔するならどっか行ってよ!!」



「…?!…しーちゃん先輩が…陽向先輩に抱きつかないだと?!」




新のオーバーリアクションに少々いらつきつつも、あたしはふんっと腕を組む。



今日のあたしは(ツンデレメイドのましろちゃん)設定だもんっ。



このよくわからない設定は、クラスの女子全員に悪意のある先生からひとりひとりに付けられた。



…名札まで作っちゃうとか…あの教師本気で焼肉食べたいんだ。



まあっ、ちょっとあたしも楽しいんだけどね〜いつもと違うあたし的な?!




「しーちゃんは陽向ちゃんのペットじゃないんで。気安く触んないのよ…」



「?なんだ?腹減ってんのか?」



「ちがうよ!!!」




もう!この鈍感!




「あれの期間なんじゃないっすか?だからイライラしてんすよ!」



「あれの期間?なんだそれ。まあいいか。機嫌直せよ〜」




新…絶対あたしを女の子の日とか思ってる…。



てか女の子の扱い慣れすぎだっつーの!チャラ男!




てか、これはこれで新鮮だなぁ!




あたしいつも人にべったりだからツンツンしたら逆にみんな構ってくれたりして!




よし!なんかやる気出てきた〜!




それからあたしは、通りかかる人たちを訳もなく睨んだりして楽しんだ。