「へぇ~、ただ者ではないと思っていたけど……会長代行」


彼女たちの横を会長代行と横切ると「キャ~ッ」と歓声が上がる。


「すまないな。なるだけ全列回るよう、心掛けているんだが……全列回るには時間が足りない」


突然、会長代行に話しかけられた彼女たちは、驚いた様子で会長代行を見つめる。


「落ちこぼれは作りたくない。全員揃って検定に合格してほしいからな。頑張って」


普段はめったに見せない優しい笑みを向ける。


いつもこういう顔でいればな、私は贅沢な思いを巡らせる。


会長代行は教務課の事務員に、出席簿を渡すと「検定申込みリストを今週までに作成しておくように」と告げた。


事務員が強張った表情で「は、はい了解です」と声を上擦らせて返事をする。


「それと、操作理解力にバラつきがある。遅れている生徒のフォローを頼む。該当者には付箋を着け、詳細を箇条書きしておいた」