「芹沢。来週の週末はスケジュールを今ある以外、詰めないでもらえるか?」

「はい。でも珍しいですね、会長代行がそう仰るのは」

「締切間近の原稿を仕上げたくてな」

「沢山先生との」

「ああ、それもある。打ち込むだけだ、頭の中に文章はあるんだ」

「あの……お休み、とっておられますか? わたしは毎週、休みを当たり前にいただいていますけど会長代行は毎日、出勤」

「会長不在も同然で、社員が必死に頑張っているのに、俺が休んでいられると?」

「でも」

「俺は半年前まで畑違いの場所にいた土素人の新参者だ。それに派閥の掌握もできていないし、いつ寝首を掻かれるかもわからない状況で、のうのうと休んでいられると?」

「ーー会長代行……ですが、お体は大丈夫なのですか」

「君はイヤなことを思い出させるな」

「すみません。でも大事なことですから」