──会長代行が倒れられて……


会長代行──そう結城由樹は私の弟だ。


秘書の芹沢香生子からの電話を受けて、私は彼女に指示を出し、病院に駆けつけた。


由樹が、結城コンツェルン会長、父の代行になって約半年になる。


由樹は先天性の心臓疾患と呼吸器疾患があり、極度の虚弱体質で毎日、決められた時間に薬を服用している。


それに、由樹の心臓は健康な人の半分も働いていないし、肺の機能も弱い。


24時間、常に酸素吸入が必須で、カニューレを装着し携帯用酸素ボンベをキャリーバックに入れて持ち歩いている。


由樹が会長代行に着任して以来、無理をしているのは知っていた。


いつ倒れても、おかしくない状態だった。


そんな由樹が心配で「無理しないのよ。用心するのよ」と毎日、声を掛けて送り出した。