「唯理さん。疲れちゃいました?」



少し遅めの昼食を園内で摂っていると、向かい側にすわったわもかちゃんがアタシの顔を見つめていた。



「全然。元気だよ」



「ほんと? 少し無理させてるかなって思っちゃった」



「そんなことないよ。だって、楽しいもん」



力強く言ったアタシの頭の上でキャラクターの耳が揺れる。



それを見た彼女が、かわいい、とつぶやき、小さなカップのデザートに視線を落とす。



「私、唯理さんのこと、もっと知りたい」



「え?」



「ワガママ、ですよね……」



「……そんなことない。それくらい簡単だよ」



彼女の手が冷房の寒さに耐えかねて温かい紅茶のカップをぎゅっと包んだ。



「アタシも、わもかちゃんのこと知りたい。だから、明日からもいっぱい遊ぼ」



「……うん」



「夏休みの間、いっぱい遊ぼうね」



「うん。遊ぼうね、唯理さん」



躊躇《ためら》いがちに彼女は笑った。



「ただいまー。トイレもめっちゃ込んでるね。さすが夏休み」



シャルが席に戻ってくるとアイスコーヒーを飲んで一息ついた。



「それで、次はどこに行くの?」



「あ、次はね。ハローニューワールドって乗り物。あと15分で時間だからそろそろ行かないと」



そう言って彼女は小さなデザートをもぐもぐ食べた。