唯少女論

私達にできることなんて多くはなかった。



遠くへ。



そう言ったところで私達が見ることのできる世界には限界があり、それは意外とすぐそこにある。



結局少し離れた図書館で真夏の暑さをやり過ごした私達は夕暮れに浸《ひた》る海岸沿いの国道をゆっくりと歩いていた。



幼くて小さな逃避行は終わりを迎えようとしている。



「わもかちゃん。そろそろ帰ろうか?」



「………帰りたくない」



少し格好悪く歩道の縁石に私は上がる。



「危ないよ」



「いいの。ちょっとくらい危なくても」



そう言いながらバランスを崩しそうになる私に彼女の手が差し出される。



「王子様みたい」



「じゃあ、わもかちゃんはお姫様だね。さあ、お姫様。そこは危ないので下りてきてくださいますか?」



夕日に照らされた唯理さんの笑顔はズルい。



その手をつかまなかったら私を、友達ではいられない気にさせる。