「わもかちゃん上手だよね」
「えー? そんなことないよ」
「画家になれるんじゃない?」
「それはどうかな。私が描きたいのは———」
照れ笑いの中、彼女はスケッチブックの端に何かを描き始めた。
「こういう感じのがいいかな」
とショートカットのデフォルメされた目の大きなアニメのキャラクターを描いた。
「かわいいね。何かのキャラクター?」
「ううん。………唯理さん」
「え? アタシ?」
驚いて少し大きな声を出してしまった。
「あ、ごめん。嫌だよね。すぐ消すね」
「待って———」
消しゴムを持って消そうとしていた彼女の手をアタシはつかんだ。
「消さないで。イヤじゃないから」
いつの間にか教室にはアタシ達二人だけになっていた。
差し込む西日がやけに暑く感じる夕暮れ。
見つめ合う彼女の瞳はメガネの奥で光を浴びてキラキラとしていた。
「わもかちゃん。アタシね———」
ほんとうに自分が好きなことって何だろう。
それが見付けられずにいたアタシは、
「アタシ、わもかちゃんのこともっと知りたい」
理由もわからない焦燥感に苛《さいな》まれていた。
「だから、教えて」
彼女は何も言わないまま、アタシの言葉を待っていた。
「アナタの名前は、何ですか?」
そんな大したことじゃないんだ。
ただ、名前を聞いただけ。
それでも彼女が嫌がっている名前を聞くのは躊躇《ためら》われた。
「私の名前は、………桜木———かりん」
「えー? そんなことないよ」
「画家になれるんじゃない?」
「それはどうかな。私が描きたいのは———」
照れ笑いの中、彼女はスケッチブックの端に何かを描き始めた。
「こういう感じのがいいかな」
とショートカットのデフォルメされた目の大きなアニメのキャラクターを描いた。
「かわいいね。何かのキャラクター?」
「ううん。………唯理さん」
「え? アタシ?」
驚いて少し大きな声を出してしまった。
「あ、ごめん。嫌だよね。すぐ消すね」
「待って———」
消しゴムを持って消そうとしていた彼女の手をアタシはつかんだ。
「消さないで。イヤじゃないから」
いつの間にか教室にはアタシ達二人だけになっていた。
差し込む西日がやけに暑く感じる夕暮れ。
見つめ合う彼女の瞳はメガネの奥で光を浴びてキラキラとしていた。
「わもかちゃん。アタシね———」
ほんとうに自分が好きなことって何だろう。
それが見付けられずにいたアタシは、
「アタシ、わもかちゃんのこともっと知りたい」
理由もわからない焦燥感に苛《さいな》まれていた。
「だから、教えて」
彼女は何も言わないまま、アタシの言葉を待っていた。
「アナタの名前は、何ですか?」
そんな大したことじゃないんだ。
ただ、名前を聞いただけ。
それでも彼女が嫌がっている名前を聞くのは躊躇《ためら》われた。
「私の名前は、………桜木———かりん」


