油断ならないコイゴコロ



「…これも仮定の話なんだけど。」

「え、まだ続くの」

俺もう、メンタルズタズタなんだけど。
タレ目君の遠い目に苦笑する。
多分、これから話すことはそんなメンタルをまるごと彼方へ吹っ飛ばすだろう。


「分かった分かった。豆腐メンタルなあんたには深呼吸タイムをやろう。」

「豆腐メンタルとは言ってないけどな」

「はい、目を閉じて森を感じて!」

「森は感じないかな」


まず前提として。
私は打算的な人間だ。
よって今日タレ目君に呼び出された理由も大方検討はついていた。あんな切り口とはさすかに思わなかったけども。その上でこの話に乗った。それが一体なにを意味するのか。




「──っ、」

「っ!」

がたり、机の揺れる音が響く。
見開かれた目がかち合った瞬間、柔らかい熱が一気に離れる。


「お前、今…なにを…」


片手で口を覆い、動揺を隠せない瞳はゆらゆらと揺れている。
私はそれを真っ直ぐ見返した。



「─当事者が第三者にかっさらわれるって、どう?」



これは、仮定の話。
仮定したものは、検証してみなければ意味をなさない。ならば私が検証してみせよう。

端から私は、この恋から手を引くつもりは一切ないのだ。




──じわじわと困惑とともに顔が赤くなっていくタレ目君に、私の頭はどうすれば引きずり込めるか計算を始めるのだった。